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tangosaito

24/09/28 自民党総裁選を見て感じた事


 先週、自民党総裁選挙が行われ、石破茂元幹事長が次の自民党総裁に選出されました。



 石破氏は1957年生まれの67歳。1986年に衆議院初当選をしてから防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣、党政務調査会長、幹事長などを歴任しており、総裁選は今回で5回目の挑戦でした。


 石破氏は過去に「ミリタリーオタク」と呼ばれていた事もありますが、軍事関係についての造詣はそれなりに持っていると思われます。それ以外に最近の報道では「鉄オタ」という評価もありますが、今回の総裁選ではどの様な状況だったのでしょうか。

 当初石破氏は「後輩の面倒見が良くない」とか「人望が無い」「言葉を言うが、何を言っているのか明確ではない」という自民党内の議員からの評価がマスコミを通じて流れていました。それもあってか1回目の投票では髙市氏が180票でトップ、石破氏は154票で次点となっていました。ただし髙市氏が過半数を獲得していない事から決選投票となり、その結果、石破氏が215票、髙市氏が194票となり、結果として石破氏が次期総裁に選出されました。


 この石破氏当選の報道を受けて、一時期は1ドル146円台であったものが143円台まで急騰するなど、大きく反応し混乱していましたが、これは今後、石破氏が財政・金融政策などをめぐりどのような考え方を打ち出すのか注目していると事からだと言われています。


 一方ネットを見ていると様々な反応が書き込まれていました。


「石破ショック。日本終了。石破に投票した189人は絶対に許さん。」

「石破推薦人は岩屋など売国議員だらけ。これでは喜ぶのは中国・韓国・北朝鮮だけだろ。これでは株価大暴落は日本潰しの工作の一策としか思えないね。日本の国益を損なわす奴らなど全員議員辞職してほしいので、次の選挙で落選させるべきですわ。絶対にコイツらだけは許せないからね。」

「「ひどい態度」「大人げない」麻生太郎 “犬猿の仲”石破茂の“勝利宣言”後の「あからさまな対応」に批判続出」

「石破茂はまじで田舎の農民じいばあを抑えてるんよね

都会の人からしたら全く支持者が周りにいなくて信じられないと思うが、自民党の本質は地方にある」


 ネットでは石破氏に好意的なコメントは少なく、どちらかというと批判的なコメントが多く目につきます。


 さて、石破自民党は今後どの様な動きを見せるのか、そこは注目すべきですね。


◆「自民党総裁選挙祭り」の始まり

 今回の総裁選はマスコミを見ていても、何か「から騒ぎ」の様な喧騒に私には見えていました。この喧騒の発端は岸田首相が8/14に9月の自民党総裁選への不出馬を表明してから始まりました。  岸田内閣は令和3年10月4日に発足し、その後、第二次改造内閣の現在に至るまで3年近く日本を引っ張ってきました。当初は「私は人の話を良く利きます」といい、「新時代共創内閣」と名付け、菅内閣から刷新したイメージを出していました。しかしその後、岸田総理の決断力の乏しい姿から「検討使」と揶揄され、日本国内で物価高が深刻化しはじめ、支持率に陰りが見え始めました。2020年には参議院選があり、そこで自民党が圧勝しましたが、その後に岸田政権に大きな影響を与えていた安倍元総理の暗殺された事や、その安倍元総理の国葬問題や新型コロナウィルスの感染拡大もあり、政権への風当たりが強まりました

。その後、旧統一教会と自民党所属議員との不適切な関係もあり支持率は急落、G7広島サミット開催で一時期は50%台に支持率は回復したものの、その後、息子の岸田翔太朗秘書官の更迭問題やマイナンバーカードを巡るトラブルの続出もあり、支持率の下落は止まらず、最近では自民党議員の裏金問題なども発覚し、岸田内閣はレイムダック(死に体)状態になりました。その様な状況を見てか、岸田首相は続投を諦め、今回の自民党総裁選挙への動きとなったのでしょう。

 今回の自民党総裁選挙には9人の候補者が出馬表明し、公には派閥の無い中で(麻生派は残っていました)の選挙でしたが、評価としては「小粒が乱立した総裁選」と言われていました。総裁選当初の下馬評では小泉新次郎氏が話題を集めていましたが、「解雇規制の緩和」や「年金は80歳から支給」、また「各家庭ではミネラルウォーターを止めて水道水を飲めば家計は助かる」などの、ある意味で異次元的な発言でミソを付けてしまい、結果として髙市氏と石破氏が浮上し、最終的にはそこに小泉氏が混じる混戦状況になったのです。


◆日本を凋落させた政治責任  1996年、日本の国民一人当たりのGDPはOECD(経済協力開発機構)の加盟国中5位でした。しかし昨年(2023年)の順位は21位で過去最低順位を更新しました。この28年間の期間の中、自民党は2009年9月16日から2012年12月26日の3年間の民主党政権を覗き、常に日本の政権与党でした。つまり日本を凋落させた責任は自民党にあったのは明確です。しかしながら、今回の総裁選で各候補者の発言の内容を見た時、その事を自覚している候補者がいたとは思えません。


「戦略的な財政出動をすることで、雇用と所得が増える。消費マインドも改善していく。そして各種の税率を上げずとも税収が増える形をつくっていく。これを最優先したい」(髙市女史、9月13日、共同記者会見)


「(年内に打ち出す方針の物価高対策パッケージについて)一律に広くではなく、重点的にやるべきだと思っている。例えば学校給食、中小企業、農林水産業、保育、介護、病院。本当にしわ寄せが来ているところに重点的にやるべきだ」(小林氏、9月15日、NHK番組)


「経済あっての財政だ。経済をよくするために必要な財政出動はためらってはならない」(林氏、9月3日、出馬表明記者会見)


「物価高を上回る賃金アップが持続的に進んでいくことができるような政策の検討は、緊急の対策としてしていきたい」(上川女史、9月15日、NHK番組)


 総裁選に出馬した候補者は、自民党や歴代内閣でいずれも要職を務めてきた面々です。要職に居ながら、この日本の凋落に対して彼ら候補者は何ら手立てを打てていないにも関わらず、この様な「打ち上げ花火」の様な言葉をよく発言できるものです。


◆政党政治の破綻した姿

 髙市女史は以前から「極右」と言われる様に、様々な発言をしていました。

「『社会の秩序』や『家族の絆』を破壊する個人主義的政策に保守系の議員が協力するのは愚かなこと」

「女性を被害者的に捉えて『何がなんでも男女平等』と唱えるのもナンセンス」

「中国、ロシア、北朝鮮が、外交・軍事・経済面で協力関係を深めている中、日本の国防力強化の必要性は論をまちません」

 一方、小泉氏は選択制夫婦別姓を主張したりしていますし、今回候補者の中にいた林氏や石原氏などは、所謂「媚中」といわれるスタンスに近い発言をしてます。

 この様な状況を鑑みるに、自由民主党とは「保守」なのか「リベラル」なのか、私には解らなくなっています。例を挙げるとアメリカでは共和党と民主党の論点は、極めて分かりやすくなっていますし、大統領選挙でも議員選挙でも、共和党か民主党かで論点が実に明確化しています。

 一方、日本の政治の中で、この自由民主党というのは、髙市氏の様な議員もいれば、立憲民主党よりもリベラルな発言をする議員までいます。本来、政党政治とは「政治において政策や主張に共通点のある者同士が集まって、意見の集約と統一された政策の形成を図り、政権を担当もしくは政策決定過程に影響力を持つことで政策の実現を図る集団を政党という。」と言われていますが、今の自由民主党は「政策や主張に共通点のある者同士が集まって」という姿ではなく、利害関係の似たもの同士が集まる「利権政策集団」になっているのが、こういった総裁選での候補者同士、論点のブレに現れているのではないでしょうか。

 だから自民党政権というのは利権政権になってしまうのであって、これは政党政治のあるべき姿では無いと私は思うのです。そして今回の総裁選挙は、その利権集団が、来るべき総選挙を勝ち残るための「顔」を選ぶ選挙であって、そこには国民に対する視点などは一切ありません。


 日本の社会状況を見ると、上にも書きましたが国民一人あたりのGDPが既にOECD加盟国で下位順位になっています。最近では物価の高騰が立て続き進む中で、国民の生活困窮は進み、日本社会の中では中流層が既に壊されて貧富の二極化が進んでいます。また急速に進む高齢化社会では、医療費の国庫負担は今後増加していくでしょうし、その社会基盤を担うべき若い世代が急激に先細りをしています。

 この待ったなしの状況の中で、国政を担う政治家は、単に内向きのから騒ぎに興じている時間は無いと思います。



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