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歴史を理解する必要性


 私が子供の頃、学校で教わったのは日本は世界の中で、唯一の被爆国であり、また世界のどこの国にもない平和憲法をもった国であると言うことでした。そして日本は太平洋戦争で近隣のアジア諸国に多大な迷惑をかけた国で、昔の日本とは軍国主義のとんでもない国であったという話もよく聞きました。

 学校の図書館には「はだしのゲン」が揃っていて、それを読んでみると、太平洋戦争当時の日本は軍国主義一色で、日本は軍部政府に踊らされたとんでもない社会であったように書かれていました。ただこの本を読んだ時に、なぜその様に日本人は酷い行動を取れたのか、そこが大きな疑問でもあったのです。


 憲法9条、戦争放棄。


 私が成人したころ創価学会で活動をしていましたが、当時の創価学会・公明党は「護憲・平和」を高らかに掲げていた団体で、その中で私は単純に戦争放棄を唱えていくことで、これからも平和な社会を維持できると考えていました。

 こんな私が、少し考え方を変えるきっかけになったのが、実は1992年に国際平和協力法に基づき、カンボジアPKOに自衛隊が派遣された時でした。この自衛隊の派遣により、今まで自衛隊に関する矛盾が私の中で多く見えはじめ、そもそも自衛隊と戦争放棄とはどういう関係性があるのかを、自分の中で考え始めるキッカケを得ることが出来ました。そしてこれを考え始めた時、どうしても太平洋戦争について、また日本の軍国主義について考え始めるようになりました。そしてその結果として、やはり日本の近代史について理解する必要性を感じ始めたのです。


◆近代史について

 日本の歴史を振り返ってみると、かなり長い歴史を持った国である事が判ります。いま世界に覇を唱えるアメリカという国は、たかだか二百年程度、中国やロシアにしてもそれ程長い歴史を持っていません。中国などは「中華四千年の歴史」と言いますが、共産党が建国した中華人民共和国は、たかだか国としての歴史は数十年程度の国です。それに対して日本は二千年以上の歴史を持つと言われています。ただこの二千年と言うのも「皇紀」というタイムスケールを見たときの話で、統一国家として考えると奈良時代の律令国家の成立あたりからという考え方もある事から、その時代からと考えると二千年には満たない年数です。

 しかし一つの王朝が治める国家とした観点では、世界にある王朝の中で一番長い王朝は日本の皇室だと言われています。その事から今では各国の王朝が一同に揃った時、一番の上座に立つのは日本の天皇なのです。

 この様な日本の歴史には様々な時代があります。律令制度が出来た時代から平安時代、そして武家が主権を取った鎌倉時代から室町時代。そして応仁の乱から、下剋上の戦国自体を経て安土桃山時代、そして江戸時代から現代に至るまで。様々な歴史があります。

 ただ現在の日本を理解する上で、一番重要なポイントとなるのは、私は幕末から太平洋戦争の戦後までの約100年間ではないかと思います。この時代の事はよく「近代史」と呼ばれています。それまでの時代の日本は、極東アジアの中で島国として独自の歴史を歩んできた歴史があり、この時代は朝鮮半島を通じて大陸との交易や、鎌倉時代には元寇により攻められもしましたが、どちらかと言うと国内中心の歴史でした。

 しかし幕末となり、世界では欧米列強がアジアへ進出する中で、日本は生き残りをかけて急速に近代国家としての転換を進めました。この19世紀から20世紀にかけて、アジアの中で欧米列強の植民地とならなかった国は、現在のタイと日本の二か国だけだと言われています。そこから考えても、この激動の歴史の中を日本は生きていたと思います。しかしこの期間は激動の歴史であったにも関わらず、「近代史」について教育の中ではあまり重く扱われていないのではないでしょうか。私自身、この「近代史」について深く学んだという記憶が無いのです。その事からこの「近代史」を中心として日本を再度、見返してみる必要があると私は思うのです。


◆過去を学ぶ重要性

 私が信奉している日蓮の言葉には、以下の言葉があります。


「心地観経に曰く「過去の因を知らんと欲せば其の現在の果を見よ未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」」


 これは経典にある言葉なのですが、ここでは今目の前に起きている事の原因を知りたいと思うのであれば、現在の姿をみれば判る。また未来はどの様になるかを知りたいと思うのであれば、現在の状況を見れば判るのである。という意味になります。


 社会の動きというのは、因果の網の目の上に紡ぎ出される事ですが、その事を理解したのであれば、現在の状況は過去に行った様々な行動が原因となっての結果だと言うのがわかります。そしてこの考え方からすると、今の日本が抱える様々な問題というのは、過去の歴史の中にそれらの原因があるという事になります。だからもし、日本の未来を考えるのであれば、今の問題の原因を理解して、その認識に立った行動を取る事でしか、よりよい未来は訪れないのではないでしょうか。


 その事から、今後ここで日本の歴史について振り返りをしてみたいと考えているのです。


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